訪問介護の指定とは【雑感】
訪問介護事業を行うためには、指定権者(都道府県・市町村など)から指定を受ける必要があります。
この、「指定」とは何でしょうか。
訪問介護事業所の「指定」とは
都道府県・市町村が、一定の要件を満たした事業者を、介護保険を利用した介護保険サービスを行うことができる事業者として指定をすることです。
行政庁から指定を受けた事業者のみが、介護保険事業を行うことが出来ます。
指定を受けるためには、指定を受けるための許可を得る必要があります。
この許可を受ける行為を「指定申請」といいます。
許可・認可の違いは?
許可とは、法令によって禁止されている行為について、その禁止を解除して適法に行為が行えるようにすることをいいます。
許可の例としては、飲食店の営業許可、医師免許、自動車の運転免許などがあります。
認可とは、行政庁等が第三者の法律行為を補充して、法律上の効力を完成させる行為をいいます。
認可の例としては、農地の権利移転の許可などがあります。(※許可となっていますが、法律上の効力は認可です)
許可と認可の違いは、裁量の有無です。
許可は、行政に許可するか不許可とするかの裁量があるため、許可要件を満たしたとしても不許可とすることができます。
(ただし、不許可には正当な理由が必要です)
認可には、行政の裁量がないと解されているため、法律上の認可要件を満たした場合は必ず認可しなければなりません。
訪問介護の指定申請は、「許可」に該当するため、一応、行政の裁量があり、許可要件を満たしても不許可とすることは可能ということです。
なお、訪問介護の指定申請については、例え行政の裁量があるとは言え、許可要件を満たしているのに不許可となることは考えられません。
指定を受けられない、または申請を受理してもらえないという場合は、何らかの不備があるものと思います。
「指定許可」が上手くできていると思う点
飲食店の営業許可のように、訪問介護事業所の営業許可とすればいいように思います。
わざわざ、事業所の許可ではなく、「指定」することを「許可」するのはなぜかと考えました。
法律上、「許可」というのは、仮に許可を受けなかったらどうなるか?といいますと、許可を受けずに行った行為も「有効」になります。
もちろん、無許可営業は罰金等の罰則が規程されているものですが、あくまで営業行為自体は「有効」になってしまうのです。
これでは、無許可で介護保険事業を行っても、訪問介護は有効になってしまいます。
皆さんが納めた介護保険から、そのような無許可営業をした介護事業者に介護報酬を給付することは納得できないですね。
指定を受けた事業者だけが、訪問介護を行って介護報酬を受給することができる。としておけば、仮に無許可で訪問介護を行ったとしても、介護報酬を受けることができません。(自費サービスということですね)
故に、営業の許可ではなく、指定を受けることを許可にしたのかなと思います。
なお、これが認可の場合はどうだったのでしょうか?
認可は、許可と違い、無認可で行った行為は「無効」になります。もちろん、罰則等がある場合もあります。
指定を受けることを認可にした場合、認可を受けないで行った訪問介護は無効になります。つまり、訪問介護を行った行為自体が無効になるため、介護報酬を受け取ることはそもそもできません。
こちらの方がよさそうですね。
では、なぜ認可ではなく、許可なのでしょうか。
これはおそらく、許可は行政の裁量があるからだと思います。
※当ページはあくまで私見による雑感を記載したものです。法律上、正しいか否かを保証するものではございません。
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